WOMENCANFLY.COの連載企画「THE WAY」では、毎月海外で暮らす素敵な女性を紹介しています。
今回ご紹介するのは、シドニー在住、医療機器メーカーにお勤めのKazumiさんです。
日本で看護師として8年間働いた後、ワーキングホリデービザをつかって2010年に単身オーストラリアへやってきました。その後日本へ帰国し、医療機器メーカーへキャリアチェンジをしました。現在は同社の移動で、シドニー支社で新しい医療機器や治療法の啓蒙活動をするお仕事に従事しながら永住権を取得しています。
ワーホリの経験がキャリアチェンジにつながったKazumiさんですが、その経験がどのようにして永住権取得に結びついたのでしょうか。ビザ取得までのプロセスや、看護師から会社員への転職の経緯、そしてKazumiさんが常に意識していることについてご紹介します。
生活する中で異文化の理解を深め、常に前向きな姿勢で新たな挑戦に立ち向かうKazumiさんの姿勢をぜひお楽しみください

看護師からワーホリビザでオーストラリアへ
日本で看護師として働いていた時、父親のホスピスケア(癌終末期の患者が安らかに過ごせるよう支援するケア)を経験しました。その際に日本のホスピスケアはまだ十分に発展していないと感じたKazumiさん。ちょうどその頃、同僚が「ワーキングホリデーに行く」と話しているのを聞き、そんな制度があることを初めて知りました。
「人生は長いのだから、1年くらい世界に飛び出して挑戦してみてもいいかもしれない。」
看護師としてキャリアを極めるべきか、他の道を探るべきか迷っていましたが、海外の生活や医療システムを体験してみたいという気持ちが強くなっていきました。
「看護師というスキルがあったからこそ、挑戦できた部分も大きかった。」
帰国後にすぐに職を見つけられるという安心感があったため、1年間の海外挑戦に踏み出すことができたそう。
「オーストラリアに行って何かをしたいというよりかは、オーストラリアの生活や医療状況などを体験してみたかったのと、あわよくばオーストラリアで看護師になれたらいいなという気持ちで来ました。」
日本での看護師経験を活かしオーストラリアでエイジドケア(Aged Care - 高齢者ケア)に従事したKazumiさん。初めは言葉の壁に苦労しましたが、現場での実践的な会話や異文化交流を通じて、着実に自信をつけていきました。
しかし、当時は看護師として必要な英語力には全然達していなかったため、日本に帰るしかありませんでした。しかし、この経験が海外の医療状況を知る良いきっかけになったそうです。

ワーホリで広がった新たな道
オーストラリアでエイジドケア(Aged Care - 高齢者ケア)に従事したことで、英語力が向上し、海外の医療状況を実際に経験したKazumiさん。
「オーストラリアでの1年半の経験は、私のキャリアに120%影響を与えました。」
帰国後、Kazumiさんはオーストラリアでの経験を通じて視野が日本から「世界」へと広がりました。英語を話せるようになったことで、日本で多くの海外の友人ができ、医療分野でグローバルに活躍できる可能性を感じ始めたのです。そこで思いついたのが、病院の現場を離れてグローバルな医療分野に進出することでした。
「私はもともと医療業界に携わり続けたいと思っていて、全く違う分野に転職するつもりはありませんでした。」
そんな中、外国人の友人が外資系の医療機器メーカーでリクルーターをしており、「看護師としての経験があり、英語も話せる人はとても魅力的だから、外資系の医療機器メーカーがそういう人材を求めているよ」と言われました。
「看護師の仕事はやりがいがありましたが、不規則な夜勤や体力的な負担があり、長く続けられるか不安を感じていました。それも企業で働くことを決めた理由の一つです。看護師としての知識を活かしつつ、広い視野で医療業界に貢献できる企業での仕事は、私にとって理想的なキャリアチェンジでした。」
この言葉をきっかけに、自分の経験やスキルを活かしてグローバルな医療機器メーカーで働ければ、より多くの人に貢献できるのではないかと考えるようになり、この仕事に挑戦する決意を決めました。それが、現在の会社である医療機器メーカーです。

永住権取得を目指し、2度目の渡豪
日本で就職した企業で働いている中で、オーストラリアへ再渡豪できる機会を得ることができました。ただ、いくつかのプレッシャーがありました。
できる限りオーストラリアの永住権を希望していたKazumiさんはオーストラリアに来る前から、会社に「永住権を目指している、サポートしてもらえないなら行かない。」と強い意志を示していました。オーストラリアに到着してからも、マネージャーにそのことを相談し続け、会社もその意向を理解してくれました。それと同時に、永住権の取得は自分の成果にかかっているというプレッシャーがあったそうです。
またそれ以外にも職種ならではの責任もありました。
「私たちの仕事は人の命に関わるため、プロフェッショナルとしてしっかりとしたコミュニケーションを取ることが大切です。中途半端なやり取りでは、患者さんの命に関わるミスコミュニケーションが起こる可能性があるため、常に大きなプレッシャーを感じています。」
オーストラリアで働き始めたとき、私は国を移っただけで、日本でやっていたことと同じ仕事に従事していました。それは、新しい医療機器や治療法について医師や患者に知識を広め、理解してもらう啓蒙(けいもう)活動です。しかし、言葉の壁があって、クライアントに正確に情報を伝えることがはじめはとても難しかったです。
「言葉がうまく伝わらなかったときは、何が問題だったのかを分析し、その単語を携帯にメモしていました。そして、同僚にその発音をどのようにすればいいのか教えてもらい、実際に練習することで、同じミスを繰り返さないように努めていました。」
こうした努力があり、オーストラリアに来て3年目。会社が永住権を取得するためのサポートをしてくれることになり、無事永住権の取得を実現させたのです。

オーストラリアと日本、働く環境の違い
日本とオーストラリアの違いは、とくに評価の仕方に表れています。
「日本では、結果がなくても『これだけやりました』という姿勢が評価されることがあります。しかし、オーストラリアではプロセスよりも結果が重視されていて、シビアな面があります。」
コミュニケーションのスタイルにも違いがあります。
「日本では、周りの人と同調する文化が強いです。みんなが『はい』と言ったら、自分も同じように『はい』と言う雰囲気があります。これが悪いとは思わないのですが、そのために物事が進みにくく、個別性が失われてしまうこともあります。オーストラリアでは個別性が重視され、自分の意見を積極的に発言することが良いとされています。」
オーストラリアに来たばかりの頃は、自分の意見を言うことに慣れていませんでしたが、次第に「自分の意見が却下されても気にしなくていい」という考え方に変わりました。
それは自分を否定されるわけではないので、自分の意見を言うことがとても重要だと、オーストラリアでの生活や仕事を通じて実感しました。
こうして、オーストラリアの環境に適応していったそうです。

シドニーで見つけた楽しみ
現在シドニーに在住して5年のKazumiさん。現地での生活にも大分慣れてきました。
そんなKazumiさんが思うシドニーの良いところは、都会だけど、自然がたくさんあるところです。
「車で10分いくだけでものブッシュウォーキング(自然の中を歩いて探検するハイキング)ができるところがたくさんあるので、「AllTrails(オールトレイズ)」というアプリでどこにいてもブッシュウォーキングできる場所がないか調べています。」
また、動くことが好きなので、クライミングとか、ピラティスをしたり、月一で小旅行に行ったりと充実した休日を過ごされているそうです。
「オーストラリアはみんな自由ですよね。みんな我慢をしていないような気がするんです。言いたいことを言って、やりたいことやってみたいな。みんながそうなので、誰も何もそれに対して何も言わないんですよ。」
オーストラリアではもらえるものが少ないけど、与えるものも少ないから、ストレスフリーでお互いに心地がいいのだとか。

メイドインジャパンを世界へ!
そんなKazumiさんの次のビジョンはMBAを取得することだそうです。
「私はずっと医療業界に携わり続けたいと思っています。医療を通じて社会に貢献したいという思いは変わりません。そして、オーストラリアに住んでいる今でも、日本人であることに誇りを持ち、日本をサポートしたいという気持ちがあります。」
MBAを取得した後は、ビジネス全体をマネジメントするポジションを目指したり、日本の企業が開発した医療機器や新しい治療法を世界に発信する仕事をしたいと考えています。
「日本の製品やプライドを『メイドインジャパン』として世界に広め、様々な人々がそれらによって恩恵を受けられるような仕事に携わりたいと思っています。」
活動の場を日本からオーストラリアに移し、医療機器メーカーのプロフェッショナルとしての責任を全うしながら着実にキャリアを築いているKazumiさん。しかし、「医療を通じて社会に貢献したい。」という根底にある思いは、どこにいても変わっていません。

Kazumiさんの、更なるチャレンジもますます楽しみです。
Women can fly(ウーマンキャンフライ)は今後も常に前向きな姿勢で新たな挑戦に立ち向かうKazumiさんを応援しています!
Thank you for reading this, and we are always here for you!
Women can fly.
Much love, xxx
Team WCF
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