THE WAY 帰国者編では、海外での経験を活かし、海外生活の帰国後も輝き続ける女性たちをご紹介します。
今回ご紹介するのは、中国人の母親と韓国人の父親をもつハーフのAmi さんです。
Amiさんはオーストラリアのシドニーで生まれ育ちました。福岡県伊東市とスペインのバリャドリッドで暮らした経験があります。高校で日本語を勉強し始め、現在はシドニーの学校で日本語と英語(ESLとEALD)の教師をしています。
今回は、Amiさんに日本とスペインでの海外生活とその海外生活を最大限に充実させた方法について語っていただきました!
言語と文化への生涯にわたる探求心
Ami さんが日本語に興味をもったのは、幼い頃。日本人家族の友達がいて、彼らがなんと言っているのかを知りたくなったことがきっかけです。高校でも日本語を勉強しますが、それは単に日本語を理解するだけでなく、日本語をつかって人々とコミュニケーションをとることで、日本の文化についても学びたいと思ったからです。 もちろん流暢な日本語を話したいという向上心もあったので、大学を通して日本語の勉強を続けました。 Ami さんは言語や人、人々との交流のなかで学んだ教訓に興味をもっていました。
第二のふるさと
Amiさんの初めての海外生活は、日本にある九州の大学でした。Amiさんは中国人の母親と韓国人の父親をもつハーフであるため、同じ東アジアである日本と多くの共通点があります。そのため、日本での生活はどれもが良い経験でした。もしかすると、日本への留学前に中国と韓国を訪れたことがあったからかもしれません。日本に対して特に大きなカルチャーショックを受けることはなく、うまく順応することができたといいます。 Amiさんが特に感心したのは、日本人の礼儀正しさと清潔さです。これだけ多くの人がいるにもかかわらず、組織化され、秩序を保っていることに驚きました。日本に対する印象は、良いイメージばかりだと言います。
留学中、Amiさんは大学の寮で暮らしていたので、簡単に友達をつくることができました。 留学生は日本人学生と同じ寮に住み、寮長たちがさまざまなイベントを企画してくれるため、交流活動が盛んに行われていました。さらに、外国人留学生1人に対し日本人学生が1人ペアとしてつくので、この仕組みは留学生にとって、生活面でも学習面でも心強いものでした。 留学生と友達になりたがっている地元の学生と交流する機会もたくさんあり、とても役に立ったそうです
Amiさんの母国語は英語なので、英語を話せる人が入ればコミュニケーションは円滑にできるのですが、Amiさんが留学していた九州の大学は少し田舎の方にあったためそれが叶わずにいました。その代わりに学生のためにたくさんのソーシャルイベントが開催されていました。 田舎に住んでいると、都会よりも地元の人と交流する機会が多く、語学力を磨く機会も増えるでしょう。
Amiさんは、日本での留学中、まったくホームシックにならなかったそうです。むしろ、オーストラリアに帰りたくなく、このままずっと日本に住むこともできるとさえ感じていました。 それは第二のふるさとを見つけたような気持ちで、この経験は人生のハイライトとしてこれからもずっと忘れないでしょう。
大学卒業後の進路
シドニーに戻り5年制大学を卒業したAmi さんは、世界を旅してみたいと感じました。教育に携わる仕事をしたいと思っていたため、海外で英語を教えるためのプログラムに応募することにしたのです。
日本で英語を教えるJET (Japan Exchange and Teaching) プログラムにも応募しましたが、内定は得られませんでした。 その後、大学を通じて英語教育プログラムである Auxiliares de Conversacion に、それからスペインにあるLanguage and Culture Assistant Program にも、同時に応募しました。先に内定が届いたのは、スペイン語プログラムの方です。 Amiさんはスペインとの接点はなく、スペイン語を学んだ経験もありませんでしたが、新しい文化を体験することは刺激的に違いないと思いました。今行かないと、いつするだろうか。と考え、スペイン行きを決めました。
大ピンチ!つたないスペイン語で生き残る
Amiさんは、マドリッドから北へ2時間のところにある、バリャドリッドという小さな町で働くことになりました。ここは英語を話す人がほとんどいない地域です。 彼女は当初、マドリッド、バルセロナ、バレンシアなどの大都市に配属されることを期待していましたが、叶いませんでした。そこで、バリャドリッドへ引っ越す前、その準備としてシドニーで2ヶ月間、毎週仕事の後にスペイン語のレッスンを受けました。 Amiさんは現地の人は多少の英語は話せるだろうと思っていましたが、実際に行ってみると、本当に誰も英語を話さないということがすぐに分かりました。 Amiさんはスペインで、たくさんのカルチャーショックを受けます。そこで、何事にも臨機応変にチャレンジしていく姿勢を心がけるようにしました。 振り返ってみると、この考え方があったからこそ、失敗してもそこから学ぶことができたのです。
スペインで暮らし始めた最初の週、Amiさんは大きなストレスを感じていました。はじめはホステル暮らしだったため、家探しをしなければならなかったからです。スペインでは電子メールやテキストメッセージでやりとりすることは少なく、何か物事を進めるときには電話で話す必要があります。そのため、Ami さんは「この部屋はまだ空いていますか?」、「部屋を見に行ってもいいですか?」 「水曜日に行っても良いですか?」など、言いたいことを事前に考え、スペイン語の台本を用意しなければいけませんでした。
結果的に、とても大変でしたが、誰も英語を話さなかったことが、Amiさんのスペイン語上達の秘訣になったといいます。スペイン語を話さざるをえなかったので、Amiさんのスペイン語はみるみる上達していきました。
言語以上のことを学ぶ
バリャドリッドでは、Amiさんは週に 3 回、仕事の後に集中的なスペイン語のレッスンを受けました。そこでは世界中から集まった他の国の人と知り合うことができました。Amiさんは言語を学ぶことが好きなので、また学生として勉強できることが楽しかったし、クラスメイトからは言語以外にも多くのことを学びました。
言語学習の側面で、Amiさんがより感じたのは、ライティング方法が言語の習得にも大きく影響するということででした。例えば、英語とスペイン語はどちらもラテン文字を使用しているため、Amiさんにとってスペイン語の読み書きはあまり苦ではありません。しかし、ラテン文字を使用しない国の出身であるクラスメイトは、どこでピリオドを打てば良いのかや、いつ大文字を使用すれば良いのかを理解するのに苦しんでいました。Amiさんは毎週他の人と会話したり、レストランで注文したり、買い物に行ったりするたびに、スペイン語の上達を感じることができたと言います。
また、Amiさんは、週に2回、地元のパブで開催される語学学習のミートアップに参加し、そこでも地元の友達をつくりました。 スペイン人と友達になってスペイン語を学ぶ機会がたくさんあったのです。海外へ留学を予定している方は、ぜひミートアップの機会を利用してみてください。世界中どこにでもあるので、友達を作る良い機会になるでしょう。
他文化の違いを受け入れるということ
Amiさんは、スペインのバリャドリッドでは、公立学校の語学指導アシスタントとして働いていました。バリャドリッドの学校はオーストラリアとは異なることが多く、毎日が驚きの連続だったといいます。たとえば、集会やカーニバル、校歌はなく、生徒は授業に出席するだけ。生徒への指導や罰則についても厳しいもので、Amiさんが働いていた学校では、声を荒立てて叱責したり、生徒を壁に向けて立たせたり、クラス全員の前に立たせて恥をかかせたりしていました。これらは、Amiさんがオーストラリアで経験してきたこととは全く異なるやり方でした。
もうひとつ、Amiさんには驚いたことがあります。それは、授業が始まる前に教師が学校の前で喫煙していたことです。 スペインの文化のなかでは許容されていることとはいえ、Amiさんはこのような違いを受け入れていく必要がありました。
ホームシックを克服する
Ami さんは海外生活を通して、人として成長できたと感じています。彼女はオーストラリア出身ですが見た目がアジア人なので、流暢な英語を話すと、「本当はどこ出身なの?」と驚く人もいるでしょう。特にコロナウイルスが流行り出したとき、中国から感染拡大が始まったこともあり、なかにはアジア人に対して人種差別の目を向ける人もいました。Amiさんも、外出するたびに心ない発言を浴びせられたといいます。そういうとき、アジア人だからという理由だけで差別することのないオーストラリアの多文化主義の良さを感じました。スペインは素晴らしく、スペイン人もとても親切でしたが、シドニーの多様性は本当に素晴らしいと感じた出来事です。
スペインへ行く前、Amiさんは自分が使わない言語を話す国に行ったことがありませんでした。例えば、中国、韓国、日本、ニュージーランドに行ったことがありますが、Amiさんはこれらの国の言葉を話すことができるので、自分でコミュニケーションをとることができます。しかし、スペインでは、彼女は完全に外国人で一人ぼっちでした。このような経験は初めてだったので、コンフォートゾーンを越えて心細さや恐怖に似た感情を抱きました。
Amiさんは、日本の留学中とはうってかわって、スペインではかなりのホームシックになりました。例えば、近所にビーガンレストランが少なかったので、オーストラリアの食べ物が恋しくなったり、自分で運転してどこへでも行ける生活が恋しくなったりしたのです。スペインでの生活は、とにかく何もかもがシドニーと異なり、全てが初めてのことばかり。そのため、慣れ親しんだ家の安らぎが恋しくなったのだと思います。
しかし、それは同時に、言葉が通じない環境がどれほど大変かを知る機会となりました。Amiさんの出身地であるオーストラリアにも、言葉がわからずにやって来ること人たちが大勢います。Amiさんは、苦労や心細さを感じたスペインでの経験により、今ではオーストラリアで同じような境遇の人々の苦労や葛藤、心の痛みに共感できるようになったのです。
海外留学、海外移住での経験がAmiさんを強く、たくましく成長させました。
これからのAmiさんの活躍も楽しみです!
Thank you for reading this, and We are always here for you !
Women can fly.
Much love, xxx
Team WCF
※Sign up to our email newsletter below to be the first to receive news and information from WCF
Comentarios